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第25章 チョコレート味の決意

男と女としてではなく、家族になるために、結婚…

考えてもなかった提案だった。

でも、対外的にも、それが一番しっくりくるのかもしれない。

籍を入れれば、家族として、関係性の説明に困ることもなくなる。
清美ちゃんの出産に際しても、育休申請をしてしばらく会社を休むこともできるから、フォローもできるだろう。収入面と仕事に穴を開けることになるからその辺は要相談にはなるけど…

清美ちゃんを扶養家族にすれば、彼女も税金だの年金だのを気にすることもないだろうし、会社から扶養家族の手当も、出産祝いも出る。もちろんその分背負い込む責任も付随するけど、元々今の状況でも一切責任は持たない、とも思っていない。

行政サービスとしては、籍を入れる事で受けられる助成よりも、彼女がシングルとして受ける保障の方が、遥かに多い。

でも、今のこの状況で、俺が彼女を一切養っていない、彼女は純然たるシングルだ、と役所に証明するのもまた面倒な話ではある…
悪いことをしているわけではないのに不正受給を疑われるのも嫌だし。
ま、俺はついついそんな計算をしてしまうけれど、彼女がそんな打算でこの提案をしているとは思えない。