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パズル
第4章 現実
「おそらく、私は、君が想像しているほど、頭の固い頑固親父ではないと思う。」

沈黙を破ったのは、瞳のお父さんだった。

「実際のところ、結婚したとして、2人は具体的にどうしていくつもりだ?」

「どう、とは…?」

「普段の生活だよ。まずは、住む家だ。君の家は、借家か、持家か。」

「父が、建てた家、です。」

「ローンは?残っているのか?」

「いえ。母が亡くなって、僕の名義になりましたが、保険金で、ローンの残額と、相続税は払いました。」

これは俺の知る限りではないが、おそらく博之の保険金も家のローンに消えたはずだ。

「生活費は?」

「大学を卒業するまで、の条件で、父から援助を受けています。あとは、アルバイトを。」

「貯金は?」

「…ありません。」

「出産や、赤ん坊を受け入れる初期費用がいくらかかるか、調べたことは?」

「…ありません…」

お父さんは深い溜息をついた。

「お父さん、それくらいなら私の貯金だって…!」

言いかけた瞳を、お父さんは目で制す。
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