この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
パズル
第4章 現実
「お前は黙っていなさい。今父さんは彼と話しているんだ。私はね、何も闇雲に反対しようというのじゃないんだ。いきなり金の話かと思うかもしれないが、子供を育てるのには、金がかかる。おそらく、新卒の給料で妻と子供を養うというのは現実的ではないだろう。瞳も今は勤めているが、いつまで働けるかはわからないし、出産後もしばらくは働けない。その分の収入が見込めないということだ。娘が苦労すると分かっていて、両手を挙げて送り出せる訳がない。違うか?」
「…仰る、通り、です…」
甘かった。
俺は、結婚や、出産についても、子供を育てるのにかかる費用のことも。何も、知らなかった。
親の庇護がなければ自分の生活すらままならない。
それなのに、身体だけは成長し、一丁前に子供だってできてしまう。そしてそれは、自分たちだけの問題じゃ、ない…
お父さんは言葉を切り、瞳の母子手帳を手に取った。
パラパラと開きながら、
「瞳の出産予定日は?今はどのくらいなんだ?」
「今、9週目…予定日は、3月25日…」
「…仰る、通り、です…」
甘かった。
俺は、結婚や、出産についても、子供を育てるのにかかる費用のことも。何も、知らなかった。
親の庇護がなければ自分の生活すらままならない。
それなのに、身体だけは成長し、一丁前に子供だってできてしまう。そしてそれは、自分たちだけの問題じゃ、ない…
お父さんは言葉を切り、瞳の母子手帳を手に取った。
パラパラと開きながら、
「瞳の出産予定日は?今はどのくらいなんだ?」
「今、9週目…予定日は、3月25日…」