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パズル
第5章 写真
「順一君。今日は、どうもありがとう。とても、いい思い出になった。」

「こちらこそ、わざわざご足労頂いてしまって。本当は、結婚式ができれば良かったんですが…」

お父さんは静かに笑って

「先日の報告の時に、もう瞳のドレス姿は見られないものと諦めていたから。提案を聞いた時には驚いたが、
もう2度とない機会だと思ってね。」

「でも、瞳のドレス、キレイだったわ。ねぇあなた?私のドレスに少し似てたでしょ?」

「そうだな」

「そうなの?」

瞳が驚く。

「えぇ。私もAラインのシンプルなデザインだったし。アンティークレースの感じとかも似てたわよね?」

「そうなんだ…ねぇ、お母さん。帰ったら写真見せて?」

「えぇ、いいわよ。」

瞳は小走りに俺に近づいてきて、

「順一、ありがと。」

と俺の腕にぶら下がるようにしが みついてきた。

…お母さんと似たドレスって、そんなに嬉しいもんか?
やっぱり、オンナのツボはよく分からなかった。
ま、喜んでくれたから、良しとするか。
不発かと思われた俺のサプライズは、結果的に成功、と思っていいらしい。
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