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影に抱かれて
第11章 回りだす歯車
部屋に戻り、一睡もできないまま朝を迎えたリュヌがうつらうつらとし始めたころ、部屋のドアをノックする音で目が覚めた。
ジャンだ……
服装を整え、青白い顔で出迎えたリュヌに、ジャンは厳しい顔で訊ねた。
「……塔へ行ったのじゃろう」
昨夜見たことを思い出し、リュヌは言葉に詰まる。
そんなリュヌを見て、ジャンは大きくため息をついた。
「奥様のお部屋に伺う前に、話しておきたいことがある。ジュール様のことでな」
「はい、お願いします……」
二人はソファーに並びあって座った。
「旦那様が亡くなってから、ジュール様は変わってしまわれたのじゃ。直後からあの塔に入りびたり、あのようなことを繰り返しておられる。使用人たちも、奥様も……皆気付いておるというのに、全く意に介することがない」
「ではもう一年近くも……?」