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影に抱かれて
第12章 光に灼かれて

息が……出来ない……

あまりに激しいキスに、意識が朦朧としてしまいそうだった。しかし、もしもこのまま自分の命が消えてしまっても、それでも構わないと思うほどの悦びにリュヌは包まれる。

そのような考えもリュヌの信じる神に背くことだったが、そう考えてしまうほどジュールが与えてくれる愛は激しかった。

「リュヌ……ああ、リュヌ!」

近くで見るジュールは、やはり男らしく成長し、もう大人の男性と並んでも遜色ないと思えるほどだ。

肩まで届きそうなほど長く伸びたあの鳶色の髪は、色気のある妖しい魅力を放っていたし、シャツの上からでも分かるがっしりとした腕や胸板にリュヌは心が満たされる自分を感じていた。

ジュールもまた、二年ぶりに見るリュヌの姿を目に焼き付けていた。

昨夜はすぐにいなくなってしまい、一瞬顔を見ただけだった。

今こうして近くで見てみると、身長は少し大きくなったものの、自分を惹きつけて止まなかったあの儚げな雰囲気はそのままで、その顔は更に凄みを増すほどに美しくなっていた。

これほどまでに美しい顔立ちを、ジュールは他に知らない。

この世に似ている人はいたとしても、やはりリュヌはリュヌでしかないのだと思った。

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