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影に抱かれて
第12章 光に灼かれて
しかしジュールがリュヌに惹かれる理由は、何も美しさだけでは無かった。
理由などない。
リュヌがそうであるように、ジュールにとってもリュヌは全てだった。
ジュールの心に神はいない。それだけに、リュヌに対する愛はなお一層まっすぐで激しいものだった。
「僕だって愛しているさ……でも、君が死んだと聞いた時の衝撃は想像できるかい? 目の前が真っ暗になったよ……自分のことも責めた。なぜあの時、馬車にしがみついてでも君を引き止めなかったのかって。……どんな事をしてでも君を離してはいけなかったんだ。ああ、リュヌ。よく生きていてくれたね。もう二度と君を離さない。過ちはもう二度と起こさないと誓うよ」
リュヌの目には、ジュールの深い色の瞳が今は燃えているかのように見えた。
昔からジュールには激しいところがあった。
それはまるで太陽の光。
ギラギラと周りのものを焼き尽くす……
ジュールはリュヌの身体を強く抱きしめた。それこそ息もできないぐらいに。