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影に抱かれて
第2章 月と太陽

子供のいないジャンは、まるで自分の子供にするようにリュヌに接するところがあった。

今日のように庭仕事の手伝いをしてくれるのもそういった理由からだったが、常日頃からリュヌと細やかに接しているはずのジャンでも、リュヌの心の奥底に秘めた将来の夢には気づいていなかった。

勉学をして、ジャンのような立派な家令になってジュールを支えたい……それが数年前から密かに抱いている夢だったが、身寄りのない庭師という身分で、そのようなことを口に出すのはもちろん、考えることすら畏れ多いと感じてリュヌは口に出せないでいるのだった。

……心の中でいくらそれを熱望していたとしても。

「いえ……今のままで十分です。ありがとうございます」

教本を覗き込む伯爵とジャンを前に、赤い顔を俯かせたまま、剪定作業に移ろうと鋏に手を伸ばすリュヌ。

使用人という立場では言いだせないのは当然だった。さらに控えめな性格のリュヌは、こんな大それた願いを主に知られてしまったというだけで申し訳ないような恥ずかしいような思いでいっぱいになっていた。

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