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影に抱かれて
第15章 その、白い手
メイドたちを下がらせると、落ち着きを取り戻した様子のジュールがそっとミルクに口をつける。
その様子を、リュヌは心配そうに見つめていた。
「ねえ、ジュール……あのロザリオはどこにあるの?……こんな時にごめん。奥様のために祈りたくて……」
「ああ、そこの一番上の引き出しに入っているよ。……鎖も直してある。ごめんね、いつか返そうと思っていたんだけど」
リュヌが引き出しを開けると、そこには絹のハンカチーフで包まれたあのロザリオが入っていた。よく見ると、鎖が直されているだけではなくて綺麗に磨き上げられている。
リュヌは大切そうにその表面を撫でた。
生まれた時から身に着けていたロザリオだ。また昔のように首から下げると、あるべき場所に戻ったというような感覚がある。
感慨深そうなリュヌを、ジュールは何かを考えながら見つめていた。
「リュヌ、僕が眠るまでそばにいてくれる? とても眠れそうにないけど……リュヌが抱いてくれたら安心できると思う」
「ウイ……」
求められるままに、リュヌはベッドに滑り込む。そして、いつもジュールにしてもらっているように、今日は自分の腕の中にジュールを抱いた。