この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
影に抱かれて
第15章 その、白い手
「ジュールが、僕の兄上……?」
濃い疲労の色を浮かべるジャンの顔に、強い苦悩の表情が浮かぶ。
「お前には全て話しておくべきだったと……そのようにご夫妻にお願いするべきだったと、今は悔いておる……」
なんという恐ろしいことだろう……!
男性であるジュールを愛した自分。そしてそのジュールとは血の結びつきまで。
これほどの禁忌があるだろうか……
「こんなこと……こんなことを知ったらジュールが! ジュールがどんなに傷付くか……。なぜ今まで教えてくれなかったのですか!」
リュヌが自分以外の誰かを罵ったのは生まれて初めてだった。
「すまん……しかしリュヌ、これから話すことを落ち着いて聞くんじゃ。お前には今以上の苦悩が訪れるだろう。そしてその上で、わしの決心を聞いて欲しい」
知らぬうちに涙が頬を伝うリュヌに、ジャンは静かに語りだした。