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影に抱かれて
第2章 月と太陽
ジャンと旦那様のように、自分もいつかジュールを支えることができたらいいのにな……と、リュヌは将来の夢について改めて考えた。
リュヌにとってそれは夢のような話ではあるのだが……
「これは失礼いたしました。昔の話をするとつい……。それにしても、私がこちらに初めてお仕えさせて頂きました頃には旦那様はちょうど今のジュール様と同じくらいのご年齢だったのに、今はこんなに立派になられて……」
「そうだなあ……父上の代からジャンがよく働いてくれたお陰で今のフランクール家があるんだ。しかし、こうしていると時間を忘れてしまいそうだ……。許されるなら昔のように薔薇の手入れだけしていたいよ」
「う~む、それは困りますなあ。フランクール領は随分と広く豊かになりました。旦那様にはさらに職務に励んでいただかなくては」
「はっはっはっ……程々に頼むよ、ジャン」
暫し二人のやり取りに聞き入っていたリュヌだったが、手を休めている場合ではない……と立ち上がった。
するとちょうどその時、遠くからジュールの声が聞こえて来た。