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影に抱かれて
第17章 影に抱かれて
「リュヌ……何だか久しぶりだね。まあ、僕も忙しくしていたけれど……いよいよ当主ともなると何かと大変だよ」
横たわるリュヌをジュールは強く抱きしめる。
明日は大変なことになるというのに……
何も知らずにのんびりと話すジュールをとても見ていられない気持ちになる。それに、ジュールが触れた部分から痺れたように熱くなり……リュヌはもう胸がいっぱいだった。
「……うん……明日はいよいよ奥様の葬儀だね……」
「そう……全てが変わる日だ」
それは、正式に当主になることを指しているのだろう……
「おいでよ……」
手を引かれ、ベッドに優しく横たえられる。
そして二人はそのままきつく抱き合っていた。
久しぶりのジュールの匂い、そして温もりに心の奥底から満たされる。
と同時に、ジュールに全て話してしまおうか……というそんな気持ちが沸き起こっていた。
困ったことがあったらいつだってジュールに相談してきたのだ。
自分で何かを決断する……しかもそれによって皆の運命が変わる。そんな役割を果たさなければいけないことは今までに無かったのに。