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影に抱かれて
第4章 雲に隠れて
「実はリュヌ、お前を春から寄宿学校にやろうと思うんだ。神学校だよ。神の教えも……世の中の役に立てるような人物になる学問も受けられる」
……自分の耳が信じられなかった。
使用人の、しかも孤児だった自分が神学校へ?
神学校についてはおおよその知識はあったが、それも頼りないものだったし、何よりも自分が学校へ行けるなどとリュヌは考えたことがなかった。
「そんな、僕なんかが……とんでもないです」
「旦那様は、全ての費用をみて下さると仰っているんだ。大変ありがたいお話だ。何も考えずにお受けしなさい、リュヌ。このフランクール家の将来のためにも……」
成長したリュヌにいつか自分の仕事を伝え、今の伯爵とジャンのような関係をジュールとリュヌに築いてもらいたいとでも考えているのだろうか……ジャンが笑顔で後押ししようとする。
伯爵の笑顔、そしてジャンの言葉に、身体の底から喜びが湧き上がってくるのをリュヌは感じ、頬が緩んでしまうのが抑えられなかった。
が、しかし……夫人はやはり微妙な表情を浮かべたままだ。