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影に抱かれて
第8章 心のままに
喧嘩別れのようになってしまったジュール。
立派な人間になるまでは連絡をしないでおこうと誓っていたリュヌだったが、ジュールに手紙を書こうと思った。長い文章を書くのは初めてだったが……ここ半年で学んだことを駆使して一生懸命書いた。
しかし返事は来なかった。
その後、いくら手紙を出しても。
春が過ぎ、夏が来て……短い秋が終わるとまた冬がやって来たが、待てど暮らせどジュールからの返事が届くことは無かった。
そんな風にして、ジュールの面影に囚われたまま二年という月日が経ってしまっていた……
休暇の時も屋敷に戻ることが許されていなかったリュヌは、休み中は教会で奉仕をして過ごした。そして帰る家のあるはずのドゥルーも同じように残ってくれるので、二人は親友と呼べる間柄になっていた。
しかしリュヌの中で、ジュールへの想いとドゥルーへのそれは全く違っていた。どちらも男性であるのに、愛情と友情という全く違う感情を持っていることに対する戸惑いももう無くなっていた。