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笑いの神様降臨
第1章 棚橋さん
「なぁ、佳奈。
携帯を今まで持たないで生きてゆけたか?」

「なけりゃーないで過ごすけど、周りが持てば持つよね?」


「だろ?
うちの天然記念物、たなっちはさぁー
未だに携帯持たないんだよなー」


「なんで?」

「必要ないんだろ」

悪魔な笑いの夫の光。

「だって、棚橋さんは光の上司でしょ?
なんで持たないの?
部下に連絡くらいしないの?」

「たなっちが携帯持たないのは、
みんな諦めてるからいいの」

「上司なのに?」

「うん。
変わってんだよ。
台風や雪の日に電車ストップすんだろ?
たなっちは、公衆電話を探すんだよ。
ご丁寧に公衆電話から電話してきてさ、遅刻しますって律儀に伝えるの」

「偉いじゃん」

「もう、雪や台風の日にさ、たなっちの遅刻は暗黙の了解なんだけどなぁ‥‥。
わざわざ連絡しなくても、みんな分かっている事なのになぁ…」


ゲラゲラ。
夫婦の笑いが食卓に響く。
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