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獣欲の檻
第8章 リナのそれから
『詮索はしない』


その条件で全てを任せた手前、聞く事もできずにその場を後にした。


幼さ故に、信じる事しかできず可哀想ではあるが、真実を知ってもどうする事もできずに苦しむよりは、この状況でよかったのかもしれない。


2人のやりとりを見ていた黒服の男は、そんな事を思いながら地下へと続く扉の前に立っていた。



リナは、それから不自由無い生活を過ごしている。
ただ、毎日寝る前に外を見ながら「おねぇちゃんは、今日も元気にしてたよ?」と、聞こえもしない報告をし、ココとルルミの誕生日は、部屋で空を見上げて「ハッピーバースデー」を歌い、新年の初詣では必ずおみくじと家内安全のお守りを3つずつもらった。

十条はそれを咎める事はなく、毎年、毎日続いたのだ。


ただ…おみくじは毎年3枚とも「待ち人来ず」


探し様が無いのだから、会えるはずも無ければ、探す事も、見つけて会いに行く事もできないのだ。
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