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獣欲の檻
第9章 ココの生活
「ココ?」



ある日、そう言ってイヴァンが階段を降りて来たが、ココは動かずにベッドに横になっていた。

テーブルには食事がそのまま残っていたのを見て、イヴァンはココのベッドに腰をかけ、髪を撫でた。



「体調が悪いのか?朝食も食べなかったそうじゃないか」



イヴァンが話しかけても、ただ一点を見たままのココに苦笑したイヴァンは、ココを抱き上げて膝の上に抱えた。



「本当にお人形になったみたいだな?」



そう苦笑するも、1年も生活をしているのに、お互い言葉は通じないのは『会話』をしていないから。

話が出来ないから、声も出さなくなったココに、イヴァンは気にする事もなく過ごしていた事に未だに気付いていなかったのだ。

ただただ、大切そうに抱き上げるだけだった。
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