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獣欲の檻
第9章 ココの生活
その1年の間、ココがその空間から外に出る事もなければ、日に当たる事もなく、白い肌はより一層白くなり、白人であるイヴァンよりも白く見える程。


伸びた髪は数日に一回、イヴァンがトリートメントをするため、柔らかく綺麗に伸びていた。


食事もしっかりバランスよく摂っていたのにも関わらず、体型は殆ど変わらないのは、運動もしなければ日にも当たらないから。


時々寝込む程体調を崩して、イヴァンを心配させるココに付き添うのは、初めてイヴァンに会ったあの日、機内でオレンジジュースを出して来た男の人だった。


何度か話しかけても返答はなく、そのうち話しかけるのも止めた。すべてを『諦める』という事だ。


ただ息をして生きるだけ。
声すら出さなくなったココは、ベットに横になって、空調の関係で時たま揺れる天蓋のレースをじっと見て、その間の時間を数を数えて測る。


ただ、それだけ。
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