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ハツコイ♥アゲイン
第6章 魔法の言葉
「この前の飲み会で、梓たちから聞いたでしょう?
ファッションモデルしてたの」
「……へー…」
「旬な芸能人が沢山所属している芸能プロダクションで。
卒業式の3ヶ月前に、正式に契約したの」
だけど当然上には上がいる。
努力なんて綺麗事がまかり通る場所じゃない。
生まれた時からやり直さないとトップには行けない、シビアな世界。
覆す程の力量も意思もなく、速攻挫折。
面白いくらいのスピードで転落した。
……だから
もう一度同じ場所を目指したいとは、どうしても思えない。
「でも、モデルが無理なら
私には他に何が残ってる?」
「………!」
「何が出来る?」
自分の両手を握っても、空気以外なにも掴めない。
立ち上がりたくても、そのキッカケが無い。
正直言うと、何をしたらいいかも分からない底辺レベル。
「これ以上古くなりたくないのに。
今までの栄光がチラついて……進めないの」
「………」
「どうしていいかも、何がしたいのかすらも分からないのに
どんどん古くなっていく感覚だけ、日に日に濃くなっちゃって……」