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ハツコイ♥アゲイン
第8章 溺れるほど、夢中

「カーテンとか、全く必要無いね」


対面式のシステムキッチンで、陽向が荷解きをしているから
私はゆっくりと正面の窓に向かって足を進めた。

高さ6mは優に超えているであろう、ガラスの向こうには
さっき歩いて通り過ぎてきた、オレンジ色の駅の照明と輝くオフィスビル群が見える。


「……ちょっと怖いくらい、高いし」


どれも高層だから、一望とまでは言えないけど
足元までの掃出し窓だから、吸いこまれてしまいそうな夜景に圧倒されっぱなしだ。


……下の方で、車のヘッドライトが繋がって光の線が出来ている。


時刻は19時。
ギラギラしていた太陽は消えて、すっかり日は落ちた。


「この窓開いたら、速攻落ちちゃう…」

「開くかアホ」

「………!」

「強化ガラス。体当たりしたって割れねぇよ」


その声と同時に、頭にコンッと何かが当てられて振り返ると
買ったグラスを手に持った陽向が、後ろに立っていた。


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