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ハツコイ♥アゲイン
第8章 溺れるほど、夢中
点滅する、いくつもの光の粒に気を取られて
最後、心の声が出てしまっていたことに、自分で気付いていなかったけど
「胡桃」
柔らかく名前を呼ばれて、夜景から視線を移すと
窓の正面に体を向けたまま、陽向が目を細めた。
「お前って、そーいうとこ良いよな」
「………!」
「彰も同じだけど」
……えっ?
なに?
いいって……なにが?
「お兄ちゃんも、って…」
「学生の時、お前の家が溜まり場になってただろ。
大学から近いからだけど、それだけじゃない」
「………!」
「── 温かかったんだよ」
あの頃を思い出すように、懐かしそうに
端正なその横顔に……笑みが零れる。
「居心地の良さも、明るさも、楽しさも
俺が知ってるなかでは、胡桃の家族が1番」
「………!!」
「俺だけじゃなくて、彰の同級生は皆そう思ってる。
あったかくて、今でも会いに行きたくなるよ」
「………っ」
「俺だけ隠れて、忍び足でお前の部屋行って……はは。
楽しかったな、あの頃」