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第9章 もうひとつの再会

陽向が彼女を “ お前 ” って言ったことで
さっきとは違う音で、心臓が軋みはじめた。


「いつ日本に帰ってきたの？ 知らないの私だけ？」

「……彩」

「だって何年ぶりよ？ 前に会ったのだって…」

「彩！」


「………！」


質問する彼女の肩を、陽向の左手がぐっと掴んだ。


……少し離れていても、横顔でも分かる

真剣な表情……




「── なんで、泣いてるんだよ」

「………！」

「何があった？」




陽向がもう片方の肩も掴んだから、持っていたビジネスカバンが地面に落ちる。

……ズキズキと、胸が痛くて
だけど２人から１㎜も目を逸らすことが出来ない。


……涙……？



「………」

「──っ 悪い」


放心して固まる彼女に気付いて、陽向がすぐに両手を離した。


……明らかに衝動的であることが分かる。

不安定で、動揺していて


「………っ」


こんな陽向、見たことないよ……