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ハツコイ♥アゲイン
第9章 もうひとつの再会
「あー……、うん、ごめんね」
指を目頭に当てて、涙を振り払うようにして
その女性が小さく首を振った。
「大したことでも何でもないの。
……今夜の予定が、ドタキャンされただけ」
「………」
「別にこんなこと今に始まったことじゃないけど。
“ 新婚 ” なのにな~って……」
………!
彼女の口から出たワードと共に
私の目に、左手の薬指に光る指輪が飛び込んできた。
「……忙しいのは、相変わらずか」
ストールを握りしめて俯く彼女のマリッジリングに
当然ながら気付いているようで
いつものポーカーフェイスで、そう呟いたけど
……平然として見える陽向のその手は、強く拳を作っている。
「事情は知らねぇけど
お前がそんなになるくらいなら、もっと本人に…」
「ううん、いいの。
仕事だから仕方ないもの」
「………」
「……分かってる、んだけど」