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ハツコイ♥アゲイン
第10章 5年前の恋心
全然大丈夫!って、明るい笑顔で手を振ってくれて
香さんは出ていったけど
……もうすぐ2年めの、新婚さん夫婦のマンションに
アポ無しで突然訪問する義妹……
ありえないわ。
本当に私って、迷惑かけてばっかりだな。
「……お兄ちゃん、ごめんね」
香さんを見送ったその背中に向かって、ぽつりと呟く。
流石に怒られるだろうなって思ってたけど
「隼人が今日からまた海外だから。
咲原が1人になるから、丁度良かったってさ」
鍵を閉めて振り返ったお兄ちゃんは、いつもと同じ。
「胡桃、夜メシ食ったの?」
「ううん…食べてない」
「どこか行く? 飲みにでも…」
そこまで言い掛けたけど、私の目を見て
「いや、部屋の中で話するか。
陽向に見つからないように」
まだ何も話していないのに
彼の名前を出したお兄ちゃんが、優しく笑った。