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ハツコイ♥アゲイン
第10章 5年前の恋心
缶ビールとグラス2つを持って、テーブルの真向かいに座ったお兄ちゃんが
一息吐いてから……顔を上げた。
「俺が仕掛けたお節介が
今、お前を苦しめているんだろ」
「………!」
「胡桃が “ 素の状態 ” になるのは
……そうさせるのは、あいつしかいないもんな」
柔らかい表情
穏やかな声
私と同じ血が流れる
私を理解してくれる人
「胡桃。
陽向と何があったの。話してみて」
「………っ」
「ちゃんと聞くし、俺も話すから」
……ダメだ。
優しい言葉に、思わず顔を伏せる。
1時間前に、目の前で見てしまった彼と彼女を思い出して
ギュウッと胸が締め付けられるように……痛みが蘇ってきた。
“ ── 彩
俺だったら泣かせない
何があっても、絶対に ”
“ 陽向を知る人なら、みんな分かってるよ
立花くんよりも、実は陽向の方が優しいって… ”
“ じゃあ、なんで
── 翔太を選んだんだよ ”