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ハツコイ♥アゲイン
第11章 笑顔でいてほしいから
……数時間前に聞いた、お兄ちゃんの言葉が頭の中で繰り返される。
“ 仕事第一主義なくせして、友達思いで遠慮して離れて
それなのに数年前の淡い恋心を思い出して、つい熱くなるんだぜ? ”
「……陽向、あのね」
恐る恐る、名前を呼んで……陽向の腕に触れた。
「勝手にごめんなさい。
さっきお兄ちゃんに会って、ちょっとだけ聞いちゃったの」
「………」
「だから、陽向が追いかけた人が
親友の大事な嫁って言った彼女が……誰か、分かる」
そう告げても、陽向に驚く様子は全然無くて
曲げた片腕で体を支えたまま、私を見下ろしている。
「彩さん、橋の上で泣いてて……
えっと、その……しょ、翔太さんと…」
「あの夫婦はうまくいってる」
「………!」
「翔太と彩は、出逢うべきして出逢った。
相思相愛の理想形」
キッパリと言い放った後
……その瞳に、ふっと優しさが宿った。
「普段無駄に明るいくせに
好きな女には、愛情表現が出来ねぇの」
「………っ」
「……昔からそういう奴なんだよ」