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ハツコイ♥アゲイン
第3章 再会トラップ
もうここからはフェードアウトして、相槌役に徹底しよう。
そう心に誓って、ワイングラスを口に運んだけど
「あ、話を元に戻しましょうね♡」
……どうやら機嫌は直ってくれてなかったらしい。
注がれたワインを一気飲みした梓が、笑顔を作ったまま口を開いた。
……目だけが笑っていない、笑顔で。
「胡桃がなんで今フリーターか、知りたいでしょう?」
「「………!」」
「さっき質問の途中だったじゃないですか。
内定が決まって就職したと思ってたのにって」
彼女の声は明るいけど
喉がグッと詰まって締めつけられて、自然と自分の手が止まった。
……一瞬忘れていた、いつもの感覚が蘇ってくる。
「……梓、私の話はやめよ」
「どうして?」
「いや、話題にする程大したことじゃないし。
楽しい場なんだから、わざわざ…」
「いいじゃない、 “ もう終わった話 ” なんだから」
……ドクン、ドクン。
鈍い重低音と共に、靄が広がる。
心の中に黒い闇が渦巻いていく。