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ハツコイ♥アゲイン
第3章 再会トラップ
─── それは、余りにも突然だった。
梓が話し始めてから、まるで海の底に突き落とされたような感覚で
彼女の声以外耳に届かなくなっていたから
……個室の扉が開いた音も、その気配すらも感じ無かったんだ。
「……あ? なに?」
入口に立ったまま、その人は部屋の中をぐるっと見渡す。
……彼が思わずなに?と聞いて、怪訝な表情で私達を見下ろしているのは
私達全員が一言も発せずに、彼を見上げているからだと思うけど
……なにって、いうか……
「俺、遅刻したんだよな。 悪い」
「………」
「けど、言い訳させてもらうと。
俺は彰から “ 8時に渋谷 ” って聞いてたんだよ」
「………」
「そしたらさっきメールで実は始まってるって言うし、肝心なあいつはいねぇし……
・・・いや、だからなんで全員無言?」
呆れたように溜息を漏らしたその人が、ネクタイを緩めると
固まっていた私達を代表して、幹事の彼が口を開いた。
「……陽向(ひゅうが)?」