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ハツコイ♥アゲイン
第6章 魔法の言葉
親以上に過保護すぎて、笑えるんですけど。
一回り離れているとはいえ、まだ30代なのに
まるで子供に言い聞かせるような店長は、お兄ちゃんというよりお父さんみたいだ。
笑いを堪えながらタイムカードを押して、更衣室で白シャツを脱いで私服に着替える。
朝7時に始まり、ディナーのグランドメニューに切り替わる夕方の16時
遅番で出勤してきた仲間と交代するまでが、私が働く平日のルーティーン。
だけど今日も時間が押して、カフェを出る時には18時を回っていた。
「……帰宅ラッシュだ」
ポツリと呟いて、続々と駅に向かう人の流れを見つめる。
場所柄からして、ほぼ9割といっていい程に
男の人はスーツを身にまとい、女の人もフォーマルな服装が多い。
誰もが皆、ピシッとしていて、キラキラしていて
……茶髪に適当なメイク、Tシャツに穴あきデニムの私には
背伸びしても手を伸ばしても届かない……縮まらない距離を感じる。