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ドラスティックな恋をして
第2章 家族の巣立ち


住み慣れた家でのんびりと、一人気ままに一日を過ごす。
最初の1ヶ月ほどは味わった事のない自由さに、
なにをするわけでもないのに楽しさを感じたが、それもしだいに飽きてきた。

なにか・・趣味でも探そうかな・・

ここまでなにかの習い事をすることもなかった。
パートに出ることもなく専業主婦でここまできた。
時々、ハンカチだとか布小物の縫製の内職を頼まれると
引き受けるくらいの仕事しかしていない。
依子にとって、夫と息子のために家事に手をかけることが一番の仕事だったのだ。

その仕事がなくなって、時間も気持ちも持て余すと、
なにかないかと家じゅうをひっくり返してみた。

その時見つけたのが、押し入れの中のギターだった。

高校生の頃の青春の思い出が顔をのぞかせた時、
依子の表情は暗い押し入れの中で明るく開いた。
ずりずりと引きずり出して、蓋を開けて手に取った時、
とにかく傍らに置いておきたい、と依子の心を弾ませた。

楽しかった記憶をこじ開けてくれた、このギターを。



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