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ドラスティックな恋をして
第2章 家族の巣立ち


桜が人々の心を癒し、景色のすべてをピンク色に染め、
数週間という短い命を終わらせ散り落ちてから、
悟志は上田の小さなセカンドハウスへと移住していった。

ログハウス、というのは依子の好みではなかったので、
家の形には細々と注文を付け、イメージに合った物件を見つけると
悟志と一緒に見に行った。

そして決めたのは、イギリスの片田舎をイメージさせる様な、
洋風の古民家といった雰囲気の2LDKの小さな家。
庭とは別に家庭菜園用の畑があるので、庭は依子が庭いじりできるようにとっておき、
いつでも妻が来られるように、というよりは来たいと思ってもらえるようにと
居場所を用意しておいた。

その庭に今はまだなにも植わっていない。
依子がまだ一度しか、セカンドハウスに行っていないからだ。

東京近郊はすっかり春の暖かさに包まれたが、信州はまだ肌寒さが残る。
庭に出て、土をいじりながら時を過ごす、という気分にはまだなれない。
もっとあったかくなったらね、と
依子は2泊ほどして川崎の自宅へ戻ってきた。

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