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ドラスティックな恋をして
第1章 想い出に導かれて
「うわぁ・・なつかしい!」
押し入れの奥に体を突っ込み、
ほこりのダンスに手を振りながら黒い大きな塊を引っ張り出す。
窓から降り注ぐ日の光に照らされた、それはギターケース。
アコースティックギターの入ったどっしりとした厚みのあるギターケースだ。
依子はキッチンから雑巾を持ってきて、
歴史を覆っている白い年月を丁寧にふき取った。
そして蓋を開ける。
中に納まっているギターはあの頃と何ら変わっていない。
表面は艶やかに光っている。
が、手に取ってみると、
絃は錆びがついてざらざらとした不快感を指に伝えた。
「さすがに絃は取り換えないとだめね」
依子は寝かせるようにギターをケースに戻し、
そして部屋の片隅に居場所を作った。