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ドラスティックな恋をして
第3章 一人、想う・・


きらびやかな音が静かな部屋に流れ出す。

テレビを消してのんびり本でも読もうと、読みかけの文庫本に手を伸ばすと同時に
携帯電話がメロディを奏でた。

この音はメールの着信を知らせる音。
名前を見ると、金沢仁美だった。
仁美は依子の高校時代の同級生。
突かず離れずで腐れ縁は続き、今の依子にとって本当の友人と言えるのは仁美くらいだ。

なんでも話せて、親身に聞いてくれて、時には厳しい事も言ってくれる、
まさしく親友だと言えるのは彼女だけだし、
仁美もまた自分のことを親友だと思ってくれている。

メールを見ると、来週の日曜日に銀座にランチにでも行こうとの誘いのメールだった。

・・日曜か・・

日曜であることで一瞬ためらったのは、
またあの楽器屋に行ってみるつもりでいたから。
日曜の午後、2時くらい。
御茶ノ水のあの楽器屋に行ってあの男にまた会ってみたい・・

依子の中で昔懐かしい甘酸っぱさが広がりをみせていた。
男に興味をそそられる時の、あの感覚・・

「やだ、あたしったら・・」

体の芯が熱くなるのを感じた依子は思わず、一人声に出して呟いた。
あたしったら・・

その後に続く言葉はきっと、
なにを期待しているんだろう、という言葉・・・




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