この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ドラスティックな恋をして
第7章 はじまり・・
昌宏から返信がきたのは家に帰りついてすぐ、
時計の針が8時をまわった頃だった。
重い荷物を置き、バッグの中から一番で携帯電話を取り出すと、
着信を知らせるランプが点滅した。
すぐさま開いて見る。
期待通り昌宏からのメールだった。
・・今日もあの楽器屋で待ってたんだけど、どうりで来ないはずだよね。
しかし、帰りの新幹線でオレになんかメールをしてくるなんて、
旦那と楽しめなかったの?・・
「ほんとにこの人って、おもしろい人ねえ」
声に出さずにはいられなかった。
新幹線の中からだと書いた。
ならば普通は退屈しのぎなのだろうと想像すると思う。
でもこの男は違う。
メールには必ず意味があるものだと考えている。
別に楽しめなかったわけじゃない。
久々に夫婦2人で過ごした夜も、男女としての充実感を味わった。
だから昌宏の言うような感情はみじんもない・・
なら、なぜ、昌宏にメールしたのだろう・・
退屈しのぎの相手に仁美を選ばなかったのはなぜ?・・
それは・・吉本昌宏というオトコに相手にしてもらいたかったから・・
気になるオトコにかまってもらいたかったからに他ならない。
「おもしろすぎるのよ、この人・・」
・・楽しかったです・・と返信のメールを打ちながら、
自分自身に言い訳するかのように
依子は声に出して呟いた。