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ドラスティックな恋をして
第9章 溺れる・・
髪を優しく撫でる昌宏の目はただただ澄んでいるだけで、思惑も企みの色も見えなかった。

依子は少し、残念に思う。

こうして肌を合わせ互いを思う気持ちが大きくなってきたその先に、
別の世界への道筋がかすかにでもあるかもしれない。
ストレートな言い方をすれば、
夫と別れて自分と一緒になってほしい、という類の言葉が聞けるかもしれないなどと
自惚れたことを考えたからだ。

「あなたは・・好きな人を奪い取ってでも自分のものにしようとか、
 そういう事は考えたりしないの?」

私のことを夫から奪い取りたい・・
それくらいの愛があると期待している自分がおかしくもあり、かわいくもあった。


だが昌宏の答えは大きく裏切った。
まったく考えてないよ、とにっこりとほほ笑まれた。
穏やかさを見せながら、
氷のような冷やかさを押し当てられた気分になった。

依子が思わず背を向けると、昌宏の指が肩をすべって乳房にたどり着いた。

「あなたを好きっていう事が・・オレのすべてだよ・・」

唇を重ねられて、今の今まで考えていたことがスッと消えていく。
愛される快感がすべてを麻痺させて、忘れさせた・・・


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