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ドラスティックな恋をして
第10章 他人の目に映る自分・・


東京から1時間半ほどで上田まで着くので、
朝の混雑が過ぎた後に家を出て、東京駅で弁当を買い込み新幹線に乗り込んだ。

窓の外の景色からビル群が消えてから弁当をひろげた。
ゆっくりと時間をかけて味わっていたら、
食べ終わる頃にはもう軽井沢の駅に近づいていた。



改札前に悟志の姿を見つけると、
手を振りながらも笑顔がぎこちなくなっている事を自覚していた。

昌宏と禁じられた関係になってから初めて夫と顔を合わせる。
何かが変わっているだろうか。何か様子がおかしいと思われないだろうか。

ほんの何十秒かの間にあれこれ思いめぐらせた。
でもそんな心配は空回りに終わった。
改札から出てきた依子を悟志は相変わらずののんびりとした笑顔で出迎えてくれた。

「あれ?ちょっと痩せたかい?」

普通に聞けば嬉しいセリフなのに、過敏に反応した依子の笑顔はひきつっていた。
あらうれしい、と一言返すのが精いっぱいだった。

「ねえ、またこの前の温泉に行きたいわ」

悟志に荷物を手渡しながら、初夏の香りが漂ってきた信州の空気を
体いっぱいにとりこんだ。


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