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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第2章 藤堂建築アトリエ事務所
いそいそと消えた大男の背中を見送っていると、その手前で「たまらんです♪」とまるで絶品スイーツを堪能したような顔をする穂花がいる。
カフェでのこともあるし…少し面倒くさいけれど聞いといてあげようかしら。
「どうしたの?」
「いやぁだって、毎度のことながらこのシチュいいなぁと思って…。季里さんに命令されて、ちょっと嬉しそうな藤堂先生」
「……」
「聞いてます?季里さん」
「…はい、昼休憩終わり」
「もー!」
やっぱり聞く必要はなかったわ。
会話をシャットダウンされて消化不良の穂花は、まだ何か喋りたそうな顔をしたまま自分のデスクに向かった。
彼女はこのアトリエの事務仕事を担当していて、建築士の資格は持っていない。
いわゆる建築家は私と藤堂さんの二人だけで
後は学生バイトが数人いるのみ。
今日に限ってゆっくりランチをとっていたから説得力がないかもしれないが、この職場は毎日が猫の手も借りたいほどの忙しさ。
弟子入りしたいという若者はたくさんいるのだからもっと人員を増やせと、先日も藤堂さんに言ったところだ。