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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
「ねぇ、教えてくれない…?」
「──…」
「家族は面倒だと言い切った──君のことを。詳しく聞かせてほしいのよ」
....
祝賀会のホテルで藤堂さんの荷物から出てきたポートフォリオ。
最後のページに書かれていた作品は、住宅だった。
葉川くんが学生時代に設計した住宅。
父、母、子供三人の五人家族の家。
外観に奇抜さはなくて、一見したところ、学生の提案としては地味な印象だったけれど
──…その家は、玄関が五つあったのだ。
玄関の全てが家族の個室と繋がっていて、個室から階段を上がり二階に行くとリビングがある。そんな間取りになっていた。
…普通は、逆なのだ。
玄関からリビング、リビングから個室へ──それがよくあるハウスメーカーの間取りだし、近年の流行りというか常識。
それは現代の希薄化しがちな家族事情をふまえて、少しでもコミュニケーションを増やそうとする背景があるからだ。