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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
それと逆行する葉川くんの作品。
作品タイトルは──『 散らばる家族 』。
「──…どうして散らばらせたの?」
「……」
「ポートフォリオのうち、あの住宅だけ文章が全く書かれていなかったわ。…どうして説明しないの?」
「…伝わらないなら伝わらないで、それでも構わないと思ったからでしょうか」
おそらく大学の授業では、良い評価をもらえなかっただろうに。コミュニケーションへの配慮を欠いた住宅は、このご時世に不適当だと。
なのに…
“ やっぱり君は、誤解を解く努力をしないのね ”
学生の時から、葉川くんはこうだったのか。
説明も弁解もしない。
周りを翻弄するだけしておいて、本当の自分を見せようとしない──。
イラっ....!
「そんなだから、私に誤解されるんでしょう!」
「…ッ──先輩…!?」
この瞬間、私は無防備に伸びる葉川くんの脚をひっぱたいた。
さすがに驚いた葉川くんが、肘で身体を支えてこちらを向く。