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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
葉川くんは被さっている私の肩を持って、上半身を起こした。
そしてゆっくり、なんとか冷静にといった具合で話を始めた。
それは彼の──昔の家の話。
「僕の家はいわゆる、理想的な一軒家で」
…玄関から入ってすぐの広いリビングルームと、ひとつながりのダイニングキッチン。
二階の個室もリビングルームと直結していて、家族の距離が近かった。
中学生だった彼が登校する時や、帰宅した時
朝のリビングには珈琲を飲む父がいて、夜のキッチンには料理をする母がいた。
おはよう
ただいま
毎日両親と挨拶して、自室と学校を行き来していた。
そんな毎日の中、彼は気付けなかった──。
自分の家族が崩壊していたという事実に。
自分が両親と…挨拶以外のまともな会話をしていないという現実に。
気付いた時、両親にはそれぞれに不倫相手がいて、離婚届けにサインをしていた。