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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
用があれば話しかけて、それ以外は自室でひとり過ごす。
そんな都合のいい関係のまま何年も何年も…家族のフリを続けていたのだ──。
「当時の僕は両親のことが好きでも嫌いでもなかったんです。…興味がなかった、と言うべきでしょうね。家に帰れば顔を合わせる──ただの同居人でした」
「同居人……?」
「異常でしょう?」
葉川くんが話しながら笑う。
こちらは少し切なくなった。
「なのに気付かなかった。…フ、油断していたんですよ。あの家で、いつも軽く言葉を交わし、お互いの顔を見ていたせいで」
「……」
「両親の離婚が成立した瞬間、ようやく僕は理解しました。家族は…──」
....
「──…家族は、もっと面倒臭い関係であるべきだったと」
面倒臭い関係──。
適度に顔を合わせて、食事を一緒にとって、楽しいことだけ共有して
たったそれだけで満足するようなラクな繋がりは、家族ではない。シェアハウスで暮らす同居人も同然だ。
この時の葉川くんは、そこまで詳しく話したかったのかもしれない。