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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません


「だから、あの住宅を設計したの…?」

「──…」


私が問うと、葉川くんは無言で頷いた。

コクリと頷いて…それきりだった。

彼が頑な( カタクナ )に作品の説明をしようとしないのは、もしかしたら、自分の持論を言葉で語るのが恥ずかしいからかもしれない。


『 散らばる家族 』


彼のあの住宅は、なにも家族をバラバラにして希薄化させたかったわけじゃない。

葉川くんは「家族はもっと面倒臭い関係」だと、作品を通して訴えていたのだ。

あの作品の住人は、家族と会うために " わざわざ " 二階のリビングに上がらなければならないし

もし思春期の子供が自室にこもれば、何日もの間、家族と全く接点を持たずに過ごすことになる。

そんな時に母親は、子供の部屋の前でドアを叩き続けるのだろう。早くリビングに来て顔くらい見せなさい、と。


──それは確かに面倒臭いし、非効率。


しかし葉川くんは、そうでもしなければ家族は家族と成り得ないことを…過去の経験から知ってしまったんだ。



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