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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第17章 家族ほど面倒なものはありません
“ それを伝えるために設計したのか… ”
私が黙って考えを巡らせていると、赤みを増した顔で葉川くんは目をそらした。
その表情だけだとわかりづらいが、やっぱり照れている。
「だから話したくありませんでした…。くだらない、ですから」
「…っ…くだらなくないと思うわ」
そらした葉川くんの横顔を見ていると、今まで感じたことのない新しい彼を発見したような。
「君って……本当は口下手なのかも」
「…っ」
「いつもペラペラよく喋るくせに、本当に大切な想いとか、信念とか……そういうのは言葉で語りたがらないタイプね」
「口下手、ですか」
「建築家には向いてると思うわ…」
またひとつ、新しい一面を見付けたような。
少なくとも私は間違っていた。
冷めた人間だと決めつけていた葉川くんは、胸の内にこんなにも熱いものを持っている男( ヒト )だった。
しかもそれを大学の設計課題で表現してしまうほど…強情な人間だったのだ。