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ある作家の日常
第2章 亜里紗(別居中の人妻、三十才)
 五郎の言葉に亜里紗は正直に気持ちを打ち明けた。


「はい、正直に迷ってます。けど、今度はフェラ嫌がらずに出来ます。だから、命令してください。」


「ありがとう、亜里紗。フェラはして欲しいけど、今日はエエよ。次の時の楽しみにしてるわ。無理して頑張らんでも、エエよ。お前は、俺の女や。それ以上になりたいんなら、その時は連絡しておいで。」


 武志の答えに亜里紗は、はぐらかされたように感じた。


「私は武志さんの女。けど、それ以上って、あっ、私の望んだ、奴隷、もし、それ以上になりたくなかったら?あの、、。」


 躊躇う亜里紗に、


「うん、連絡はいらないよ。それ以上を望まないのならね。俺はサドたから、ノーマルだけじゃ満足できないんだ。だから、奴隷になる気があるなら、連絡しておいで、亜里紗。」


(さあて、どうかな?昨日のセックスで彼女は満足してる筈だし、こいつは賭けやな。東京が、済み次第かな?)


 武志の言葉が、亜里紗には信じられなかった。
 そして、武志の言う通り、彼の女にはなれたが、奴隷にはなれていなかったのだった。


「つまり、ノーマルの女は要らないってことですか?でも、そうですね。あなたに奴隷にして下さいって言ったのに、私、奴隷の務めを拒否したんですもんね。わかりました。一日か二日考えさせて下さい。ごめんなさい、私の我が儘で。」


 意外に素直な亜里紗の言葉を聞いて、武志は彼女が連絡してこないと瞬間的に感じたが、言葉には出さなかった。


「うん、まあ、そういうことね。ただ、その気があるなら別やけどな。それに、亜里紗が奴隷に成りたいって言った時は、嬉しかったぁ。ホンマに嬉しかったぁ。」


「ホンマに?ホンマに、嬉しかったん?私、それだけで、ホンマ、満足やわぁ。あっ、朝ごはん、早よ食べましょ。」


 亜里紗のこの言葉で、武志も猛烈な空腹感に襲われ、目の前の食事に挑んだ。
 しじみのお味噌汁と海苔、お漬け物に卵焼きの簡単な様に見えるが、手の込んだ物が並んでいたが、二人の食欲こ前には一堪りもなかった。
 食事が終わり、亜里紗を車で送り、別れ際に武志が、


「今日から、東京に出掛けるから、会えるのは木曜日以降になるよ、亜里紗。連絡まってるわ。ほなな。」


「東京って、あっ、雑誌のグラビア!私も見てる。うん、ほな、それまでには連絡するわ。」
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