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【マスクド彼女・序】
第1章 プロローグ
「えっ……?」
たった免許証一枚の提示により、下された「合格」との言葉。青年が其処に違和感を覚えるのも、当然だった。そもそも何に対し「合格」をしたのか、青年はそれすら明確には知り得ていないのである。
しかし、そんな戸惑いにも構わず、事態は急速に展開してゆく。
「うおっ!」
まず青年が思わず口にしたのは、驚愕の声。
どうして驚いたのか、と聞かれるのなら。その理由は向かいに座っていた人物が、立ち上がって青年に顔を見せていたから、と答えるべきなのだろうか。
だが、それでは正しくないのだ。
何故なら――誰も顔なんて、見せてはいないのだから。
「なっ、な……何なんですか、一体……?」
そう訊ねた青年が見上げている、謎の人物。
その素顔は『マスク』によって、覆い隠されていた。