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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

それは、つい先日のこと。
璃子は同じサークルに所属する同学年の男子から、告白を受けていた。
相手は気も良く快活な人柄だったが、璃子は考えた末に彼よりの申し出を断っている。友人として見ていた。そうするしかなかった。
それでもその彼の真剣さに触れ、想う処がなかった訳ではない。璃子自身は異性と付き合った経験がないから、最初は自分が臆病なのだと思った。勉強ばかりで生真面目で、とても奥手であるように思えた。
けれど、それだけではないことには、すぐに気付いていた。
真矢先輩――
と、その顔を、自然と思い浮べ。
自分だって、恋愛の一つもしていい年頃なのだと実感してゆく。
女友達と行くつもりでいた、映画のチケット――。訪れていた、夏休み――。最終学年の先輩――。先に迫るのは、卒業――と、別れ。
璃子が正直を誘うまでの状況は、自然と整えられていたのだった。

