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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】
 レポートを纏め終え。席を立つと調べた資料を、書棚に返す。

 近くの窓ガラスに映る自分の姿に、ふと目を止めた。


「……」


 女友達から「子供っぽい」なんて良く言われるが、それは褒め言葉なのだろうか。背は割と高いから、踵の高い靴は履いたことはない。

 こうして客観的に眺めると、何処となくアンバランスに思えた。


 先輩は私を――どんな風に、見ていたのかな?


 期せずして覚えた問いに、答えなんてなかった。もう知る機会すら、ないのかもしれない。そんなことが少しでもわかればと、思い切って誘ってみたのだ――けれども。

 別に気持ちを伝えようなんて、そこまで思い詰めた訳ではなかった。それは今、ガラスに映った自分と同じで、とても中途半端な想いだった。


 じゃあ、このまま、なかったことに、する?


 正直の事情は、何となく知れている。でも――


「それは、嫌……だな」


 璃子は、ポツリと呟いた。


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