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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

 すなわち、それらの相手をせよと申し込まれた、正直。


「あ、うん。いいけど」


 やや不思議に思いながらも、とりあえず頷く。

 同じく時を過ごすならば、何もしないよりも、それら遊戯に興じていた方が遥かにましだろう。何故そんなことをするのかという疑念は、一先ず棚上げすることにしたのだ。


「だけど、意外だね」


「意外?」


「若いのに、割と渋い趣味なんだなって」


「別に……」


 唯は顔をプイッと背けたが、特に不快を顕わにした訳ではなさそう。

 そして何気なく用いた「若い」という言葉を、それとなく受け入れていることから、少なくとも自分より年下なのだろうと正直は思った。

 そんな些細な点から、何かを探ろうとして、正直はまた言葉を重ねる。


「こういうの、誰に教えてもらったの?」


 しかし――


「全て、ネットでの対戦のみ……。生身の人間を相手にするのは、今日が初めてです」


「そ、そう……」


 唯の言葉から漂ったのは、またしても孤独の匂いだけ……。

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