この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「それでは、まず――どれから?」
心なしか、やや柔和な口調で、そう訊ねている唯。
「将棋とチェスは、一応わかるけど。囲碁はルールを知らないから、ちょっと無理。それなりに自信があるのは、オセロかな。トランプはまあ、何をやるかによるし」
正直は個々のゲームに関する、自分の力量を簡潔に伝えた。
「では、オセロで?」
「了解……」
正直は頷く。
唯は他の遊戯道具を床に置くと、二人の間にオセロ盤だけを残した。馴染みのある簡素な盤とプラスティックの白黒の石は、彼女の言葉が示す通り使用感はなく新品同然。
そうして――
「では――」
「うん」
正直が白石、唯が黒石を受け持ち、ゲームは開始された。
序盤はどちらも短い思考時間で、交互に石を置いてゆく。

