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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「それでは、まず――どれから?」


 心なしか、やや柔和な口調で、そう訊ねている唯。


「将棋とチェスは、一応わかるけど。囲碁はルールを知らないから、ちょっと無理。それなりに自信があるのは、オセロかな。トランプはまあ、何をやるかによるし」


 正直は個々のゲームに関する、自分の力量を簡潔に伝えた。


「では、オセロで?」


「了解……」


 正直は頷く。

 唯は他の遊戯道具を床に置くと、二人の間にオセロ盤だけを残した。馴染みのある簡素な盤とプラスティックの白黒の石は、彼女の言葉が示す通り使用感はなく新品同然。

 そうして――


「では――」


「うん」


 正直が白石、唯が黒石を受け持ち、ゲームは開始された。

 序盤はどちらも短い思考時間で、交互に石を置いてゆく。

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