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【マスクド彼女・序】
第3章 一日目【彼女との戒律(ルール)】

「あのさ――唯さん」
「はい。何でしょうか?」
「この手の勝負事を、もっと愉しむ方法――知ってる?」
「いいえ……それは、どの様な方法でしょう?」
「とても簡単だよ。つまり――賭けをするんだ」
「賭け? それは、金銭を賭ける、という意味、ですか?」
やや怪訝そうに訊ねる唯に、正直は言った。
「別に、金銭である必要はないよ。要は勝者が敗者に、ある要求を呑ませることができる、ということ」
「要求……」
その言葉を、まるで己の中で反芻するようにし。
ニィ……。
唯は何かを想い、また微かに笑う。
「それは私にとっても、願ってもないことです。では、正直さんは、私に何を要求しようとするのですか?」
乗って来たな……。
と、今度は正直も、微笑を返し。
「一つでいい。俺の質問に、何でも正直に答えること」

